オマエの好きは軽い。
あなたはいつもそう言って私を軽くあしらうの。
だけどほんとにほんとに大好きなんデスヨ。
もう、叫びだしたいくらい。
わからないでしょ?
私がどんなにあなたを想ってるか。
だから溢れ出す想いを伝える為に気持を私は言葉にする。
大好きの言葉は私にとってあなたをこれだけ想っているっていう気持ちのバロメ
ーター。
たくさん口にするほどあなたが好きってことなんデスヨ。
だから軽いなんて言わないで。
だけどあなたがそれに気付いてくれないならちょっとだけ思い知らせてやっても
いいかな。

一週間好きって言いません。
そしたらあなたは気付くかな?
ワタシの気持ち。

一日目は何もアリマセンでした。
二日目はピアノを弾こうとしたら呼び止められたけどやっぱ良いって言われまし
た。
三日目はなんかあったか?なんてちょっと優しい言葉が聞けました。
でもまだまだデスヨ。
四日目はなんだか落ち着かなさそうに何度も何度も私に何か言おうとしてはやっ
ぱり何も言わずに溜め息をついてマス。
五日目は何も言わないのにキスばっかりしてきます。その上私をギューと抱き締
めて離してくれません。ちょっとかわいそうになってキマシタ。
そして六日目。
朝からなんだか不機嫌そう。でも私は側から離してくれまセン。
ずーっと一日ピッタンコ。離れたのはトイレの時だけ。それも付いて来そうだっ
たのを止めるのを苦労シマシタ。
六日目もそろそろ終わりデス。
ごはんを食べてピアノを弾いて今はソファーで先輩の横に座ってマス。
さっきから先輩は何も言わなくてちょっと気まずいデス。
そんな時に聞き慣れた電子音が部屋に響きました。
あ、電話デスね。
こんな夜中に誰でしょう??
「アローのだめデス!ふぎゃっ、峰くんっ!?」
お久しぶりな峰くんからのお電話デシタ。
前から頼んでたぷりゴロ太の限定フィギュアセットを入手して送ってくれたらし
いデス!
あれはみんな服が限定バージョンのスペシャルなフィギュアなんデスヨ!
ついつい嬉しくていつものように言っちゃいました。「峰くん、大好きデスっ!

言った瞬間すごい力で背後から引っ張られて倒れると思ったら背中に暖かい感触

振り向いた先には不機嫌度Maxな先輩。
びっくりしてると手から受話器を取り上げられちゃいマシタ。
そしてガチャン。

受話器は乱暴に叩き付けられて可哀想な峰くんはきっと急に切れた電話にアタフ
タしてるかもしれません。でもそれよりも今ののだめにとって一番重要なのは目
の前の不機嫌な恋人。
「先輩?」
「…オマエ、なんなんだよ!?」
押し殺した声。
「ナニがデスカ?」
「峰に好きだとか…」
言い出してちょっと恥ずかしくなったのか頬を赤く染めてます。

「だって好きですもん。」嘘じゃないデスヨ。
でもライクですけど。
ラブは先輩だけデス。
心の中だくで付け足す。
ワタシの言葉に先輩は眉を寄せる。そして小さくポロリ。
「…最近俺には言わないくせに。」

ムキャー!
かわいいっ!!
悶絶デスヨ!!

心の中は大騒ぎだったけど緩みそうになる頬に力を入れて平静を装いマス。
「だって先輩、オマエの好きは軽いって。言えば良いってもんじゃないって言っ
たじゃないデスカ?だからのだめ我慢してたんですよ?」
「…我慢する必要ないだろ。今まで散々言ってたくせに…。」
すねたように言う先輩ににやけるのを我慢我慢。
必死で顔を作ります。
「だって軽いとか言われたら言いたくアリマセン!のだめ、先輩のコト大好きな
のに…。いっぱい伝えたいけどこの前うっとおしいって言われたし、心の中だけ
で叫ぶことにシマシタ。」
ぷっくりほっぺたを膨らませると先輩はばつの悪そうでのだめを抱き寄せてギュ
ってしてきました。

「ごめん。」

小さく、ほんと小さな声。
思った以上の効果にのだめもビックリ。
そっと先輩のシャツを掴み、抱きつくと更にギュってされちゃいました。

「軽いなんてもう言わねーから、いっぱい言ってくれよ。」

「先輩、のだめが好きって言ったら嬉しいんデスカ?」
「うん。オマエの言葉聞いたら幸せになれるんだ。だからさ、俺にだけ毎日言っ
て。」

もう我慢しなくていいデスネ。
「好き。
大好き。
真一くんをこの世で一番愛してマス!」
そう言って背伸びして真一くんの唇に自分の唇を重ねた。

強く抱き締められてキスを繰り返す。

とっても幸せ。

「先輩ものだめに好きって言ってくださいね。」
先輩の腕の中で顔を見上げてそう言うと困ったような顔になって真っ赤になりま
した。

「好きだよ。」

小さな小さな声。
だけどちゃんと聞こえマシタヨ。

「のだめも大好きデス!」「知ってるよ」

思い知らせられマシタヨ。毎日いっぱいあなたに好きを伝えるからもっともっと
ワタシの想いを知って、受け止めてクダサイネ。

七日目はラブラブ。
朝からキスをして好きデスヨって言ったら甘い甘いキスと抱擁がお返し。

あ、後で峰くんに電話しなきゃ。

 

end