30000hitキリ番リクエスト小説です。
くらら様で「ちあのだ喧嘩話。最後は甘く。」です。
喧嘩…。
喧嘩になってるのか…??
とりあえず最後はちょっぴり甘くなっていると思います。
こんなんですがくらら様よろしければお納めクダサイ。
これからもよろしくオネガイシマス!!

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あなたと出会わなかったら今頃私はどうしていたかな?

夢だった幼稚園の先生になってるかな?

もしかしたらもう結婚してお母さんになってたかも。

あなたと出会っていなかったら。

だけどそう考えるだけで悲しくなってしまう。

こんなにもあなたを好きになってしまった私は幸せなのか不幸なのか。

あなたに出会ってしまった私にはもうあなたしか見えないのに、あなたは私だけを見ているわけじゃない。

 

だってすぐに私との約束なんて忘れちゃうでしょ?

私の話を聞き流すでしょ?

わかったわかったってホントは聞いてもいないくせに。

 

昨日のだめ先輩と約束しました。
何日か前に今日は休みだからどっか行こうか?って先輩から言ったンデスヨ!
だからもうこの数日は楽しみで楽しみでどこに行こうかとかずーっと考えました。
それで昨日明日はどこ行きますかって聞いたらどこでも良いって言ってくれたからあそこに行きたい、
ココに行きたいっていっぱい先輩にお話しました。
そしてじゃあ10時にって約束したのに…

今は1時15分を過ぎたところ。

先輩との電話は1分前に強制的に切ってやりましたよ。

待ち合わせの噴水前から大股で離れて一緒に行きたかったカフェを目指す。
目から溢れそうになる涙を堪えてズンズンと歩いた。

10時をちょっと過ぎた時間に着いていつも先に来ている先輩がいなくて首を傾げたけど、
自分もいつも遅れるから先輩もたまにはそんなこともあるかもしれないと思った。
だけど10時半になって11時になって、さすがにおかしいと気づいた。
何かあったかもしれない、事故かもしれないと不安になって電話を鳴らすけど先輩は出てくれなくて
メールも何通も送った。
家に行こうかとも思ったけどすれ違いになったらと思うと動けなくて更に1時間、2時間と同じ場所に立っていた。

電話が鳴ったのは待ち合わせから3時間後の1時。

『先輩っ。』
『なんだよ?この異常なほどの着信は!』
『なんだよって!先輩が全然来ないからのだめ不安だったんデスヨっ!?』
不機嫌そうな先輩の声にカチンときて少し大きな声で言い返した。

だけど…

『はぁ?おまえ今どこにいるんだ?』

思わず携帯を落としかけた。
どこに居るって昨日約束したじゃないですか。

まさかまさかまさか…

『悪い。忘れてた。』

うそ。
ウソ。
嘘。

忘れてたんじゃないでしょ。

聞いてなかったんでしょ。

『今から用意して行くから…』
『もう、イイデス。』

『オイ、のだめ?』

バカみたい。

浮かれてた自分がバカみたい。

先輩も楽しみにしてくれてると思ってた自分がバカみたい。

きっと彼は自分のお家で久々の休日を好きなCDでも聞いて楽しく過ごしてたに違いないのに。

そのまま何か言ってる先輩の言葉を聞かずに電話を切った。
すぐにかかってくる着信音。
だけどもう出る気なんて起こらなくてそのまま携帯の電源も切った。

いいんデスヨ。
知ってマス。

先輩の頭の中は音楽が98%占めていて、のだめはきっと0.001くらいしかないって。

だけどなんだか今日は納得できなくて溢れてきそうになる涙を必死に堪えて噴水から大股で離れた。

これからどうしよう?
せっかくお洒落にしてきた服装もなんだかむなしい。

歩きながら見回すと街には幸せそうに寄り添う恋人だとか楽しげにはしゃぐ家族が溢れている。

先輩と出会わなかったらのだめはあっちの人たちだったかもしれない。
甘い恋人と幸せに寄り添ったり、かわいい子供と出かけるお母さんだったり。

まぁ、先輩と出会わなかったらのだめはパリになんていないんデスケド。

そしたら日本で幼稚園の先生になってたかな。

テクテクと歩いて先輩に昨日行きたいって話した公園まで来る。
公園はポカポカとあったかくてもういいやって気分になった。

先輩じゃない人と一緒のほうがのだめは幸せなのかな?
もうだって先輩はめんどくさいのだめのことに怒って部屋で自分の好きなことしてるだろーし。
もしかしたらもういいやって気にも留めてないかもしれない。

ああ、私は先輩に出会って幸せなのか不幸なのか?

私は先輩が大好きで、でも先輩は私が先輩を想うほど私を好きじゃないのに。

もしかしたら先輩なんかよりのだめを幸せにしてくれる人はいっぱいいるんじゃないか。
のだめのことを大事にしてくれて、優しくてずっと傍にいてくれて、話だっていつもちゃんと聞いてくれる人。

もしかしたらそんな人と今日出会うかもしれないなんて。

先輩じゃない誰か。

もし誰かに声をかけられたらついて行ってみようか?

30分待ってみてその間に声をかけてくれた人は運命かもしれない。

空いているベンチに座って空を見上げながら待ってみた。

1分、2分、5分、10分…

やっぱりそんな都合のいいことなんてきっとないんだと思い始めたちょうど25分目。

肩にぽんと置かれた手にドキンと心臓は鳴ってギュッと手を握り締めた後ゆっくりと振り返った。

 

「っ…。」

「急に電話切るなよ。」

振り返ったそこに居たのは、少し息を弾ませた先輩。

「なんで居るんデスカ?」

「なんでっておまえなぁ。急に電話が切れたら心配するだろっ。」

よほど慌てて来たのかいつもきっちり着こなされている白シャツと黒いパンツじゃなくて、
先輩はハーツパンツに白いTシャツ姿。
完全な部屋着のまま。
へやぎっていうより寝巻きだけど。
そしていつもよりはねたままの髪の毛。

「寝てたんデスカ?」

そう言うと途端に気まずそうな顔になって目を反らす。

「悪かったよ。目覚ましかけ忘れててさっき起きた。」

「なんでのだめがここに居るってわかったんですか?」
昨日話なんか聞いていなかったくせに。

少し拗ねた気持ちのまま唇を尖らせる。

なのに、先輩は不思議そうな顔をしてその後のだめが聞きたかった言葉をくれた。

「だっておまえ、昨日行きたいって行ってただろ?」

ちゃんと聞いていてくれたんですか?

「忘れてたって…。」
「だから目覚ましをかけるのを忘れてたんだよ。起きたら着信が入ってたから電話したけど
寝起きだったから頭働いてなかったし。」

気まずげに言う先輩。

少しだけでものだめの話聞いてくれてたんですね。

それだけで不幸だった私は幸せな私になれた。

立ち上がって先輩の前に立つとそのまま抱きついた。
それに少し慌てたような声を先輩は出したけど、ギュって抱きついたら先輩はゆっくりと強く抱きしめ返してくれました。

幸せ。

やっぱりのだめはココが一番幸せです。

「今からどっか行くか?」
「先輩、その格好で行くんデスカ?」
「あ。」
「ぷぷぷ。」
「慌ててたんだよ!おまえが急に電話切るから!!」

「のだめは嬉しかったデス。だってちょっとでも先輩の愛を感じれたから。」

そう言って笑うと少し不機嫌な顔になる先輩。
「ちょっとってなんだよ?俺はけっこうおまえの事愛してるけど?」

「ほえ?」

「もういいって急に電話切るから、愛想つかされたと思ってビビった。」

ギュウッと痛いくらい抱きしめられて告げられた言葉。

ねぇ、先輩。
のだめちょっとだけ自惚れてイイデスカ?

「愛してマス。」

だけど言葉に出来ないからそう言った。

すると優しい笑みを浮かべて俺もって小さく言ってくれた。

その後耳まで真っ赤になっていたけれど。

「のだめ、今日はお家でのんびりしたいデス。」
「他にも行きたい場所あっただろ?」
「イインデス。今日はなんだか先輩と2人だけで仲良くしたい気分デス。」
そう言ったら先輩は顔を真っ赤にしマシタ。

そして手を繋いでお家までの道のりを歩く。

あなたと出会わなかったら。
のだめはどうしてたかな?

きっとそれなりの幸せを見つけて生きていただろうけれど、
きっと今ほど幸せじゃあなかったでしょう。

私はあなたに出会えてやっぱりスペシャル幸せ。

まだ今はのだめは音楽に負けてマスケド、いつかきっと音楽を抜いてミセマス!!

だから覚悟してて。

悲しい時も寂しい時もあるけれど、あなたと出会ってあなたを好きになって私は世界で一番幸せデス。

end